知る人ぞ知るデザイン思考とアート思考の違いと鍛え方
近年、IDEOが提唱したデザイン思考が博報堂やIBMなど様々な企業や特許庁の「デザイン経営宣言」など様々な文脈で話題になっています。この記事ではデザイン思考と、それと対比されて語られるアート思考の違いを解説します。
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デザイン思考とは?
デザイン思考はまず対象となる人(もしくは、人を含んだ状況)を決めます。
その人の言動を観察する中で、違和感や気づきを収集し、その人の課題を特定します。
次に課題に対するアイデアを素早く何度もプロトタイプすることで、対象にとって価値のあるサービスや製品を作り上げてゆきます。
このように人の課題を特定してからアイデアのアウトプットを行うというのがデザイン思考の基本的な流れです。
アート思考とは?
アート思考は近年デザイン思考と対比される形で言及される思考法です。
思考を順を追って説明すると、まず何らかのアウトプットを行うことで一度理想を可視化します。
そして、そのアウトプットを周囲にさらすことで、現状の常識からの逸脱を感じそのギャップから問いを磨き上げてゆく考え方です。
簡単に言うと、アウトプットされたものに対する世間とのギャップからそこに市場性を見出していくというスタンスです。このような偶然性に身を任せて常識の範疇を越えてゆくやり方がアート思考です。
フェイスブックは「かわいいクラスメートを検索する」という軽はずみなアウトプットをサービス化したものであり、Airbnbは企業の文化としてすべての従業員に未来像を紙に描かせることをしています。
デザイン思考とアート思考の違いとは?
両者とも世の中に新たな価値を創出する思考法であることは共通していますが、その違いはプロセスにあります。
デザイン思考はまず課題の特定から入るのに対して、アート思考は自身に内在する想いや価値観をアウトプットすることから入ります。
デザイン思考はマーケットイン、アート思考はセルフアウトというところです。
極端に言うと、デザイン思考は他人本位、アート思考は自分本位です。
両者に優劣はありませんが、どちらかだけに偏るとあまりよくないと思います。
デザイン思考ばかりだと、自分のビジョンを見失い、アート思考のみだと世の中との乖離を感じにくくなってしまいます。
この両者を行ったり来たりしながら考えられるのがベストだと思います。
デザイン思考とアート思考の鍛え方
デザイン思考は色々な事象に対して疑問を抱くことが大事です。
詳しくは以下の記事に書きました。
アート思考は普段から意図的にお絵かきや画像収集などをする癖を持つといいと思います。自分が作ったものや集めたものに対して、「自分がなぜそれを良いと思ったか?」「何がその画像のポイントか?」を考えておくと審美眼が磨かれます。