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【例でわかるデザイン思考】次世代型保険!住友生命の「Vitality」という画期的なマーケティング成功事例【スゴデザ】

スゴデザ‐例でわかるデザイン思考-

秀逸にデザインされたマーケティングの成功事例を紹介します。

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「Vitality」とは?

「Vitality」は南アフリカのDiscovery社が世界17の国と地域で提供されグローバルに評価を得ている健康増進プログラムです。日本では住友生命が主体となりソフトバンクや10社以上のパートナー企業と組んで健康増進型保険として販売しています。

 「Vitality」は「加入時、もしくはある一時点の健康状態を基準に保険料を算定して、病気などのリスクに備える」という従来の生命保険とは異なり「加入後の健康診断や日々の運動といった継続的な健康増進活動を評価して保険料が変動する」ことにより、「健康になる(=リスクそのものを減少させる)」ことを目的とした保険商品になります。

「Vitality」は大きく3つのステップで構成されるプログラムです。「Vitality」は月額一定料の金額を払う必要がありますが、以下のステータスに応じてその金額を上回るような割引を受けられる設計になっています。

①健康状態の把握

まずは健康診断や検診の結果を登録します。登録内容に応じてポイントが付与されます。(いい結果の方が付与されるポイントが多い仕組みです。)

会員は全国のツルハドラッグおよびウエルシア薬局の対象店舗で提供される「かんたん血液検査(健康ライフコンパス)」を割引または無料で受けられます。 

②健康状態を改善

次に毎日の運動状況やジムへ通って運動した履歴を送ります。こちらも登録内容に応じてポイントが付与されます。(多く運動した方が付与されるポイントが多い仕組みです。)

会員は心拍数などを測れるウェアラブルデバイスや、KONAMIやルネサンスなどスポーツジムの利用、adidasのスポーツ用品、Oisixのヘルシーフードの一部が割引されます。

①②の積み重ねによりポイントを貯めて、自分自身のステータスを

ブルーブロンズシルバーゴールド

と高めていきます。

このステータスに応じて保険料の割引率(ブルーの場合は値上げも有)や③の特典の内容が変化します。

③特典の利用

会員は自分のステータスに応じてHotels.comの宿泊割引やLAWSONやStarbacksのドリンクチケットを受け取ることができます。海外の事例を見ると航空券や映画のチケットも割引の対象になっています。  

秀逸なデザイン思考のポイント

「Vitality」のマーケティングにおけるデザイン視点でのな秀逸さは以下の2点です。

WIN-WIN-WINの関係性

このプログラムがフルに活用されると各ステークホルダーは以下のようにWIN-WIN-WINな関係になります。

加入者 

健康になることでステータスがあがり、それによって保険料は下がり、多くの特典を受けられることになります。何より健康寿命が延びます。

住友生命

加入者が健康になれば保険金の支払いが減り、安定した保険料収入を得ることができます。(支払を減らすコストカットのイメージです。)さらに健康に寄与する会社というブランドイメージの向上を図れます。

提携社

広告費を払わずとも新規顧客の開拓が可能になり、自社のイメージアップにもつながります。

このように一度サービスに関与しそうなステークホルダーを洗い出して、ターゲットの利用の状態を起点に各ステークホルダーがWINの状態になるにはどうすればいいかを考えるという方法は使えるかもしれません。

行動経済学に基づく体験のデザイン

現状のままでは保険料が上がる仕組みになっているので、「損失回避」の点から現状のままでいいという「現状維持バイアス」を壊すような設計になっていたり、ドリンクチケットのようなこまめな報酬を与えることで継続しやすくするなど行動経済学にのっとった体験が描かれています。

このようにどうすれば離脱なくサービスを使い続けてくれるかを考える際には行動経済学の視点が役に立つかもしれません。

vitality.sumitomolife.co.jp

 

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