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【入門編】デザイン思考による課題解決プロセス【フレームワーク】

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課題解決のフレームワーク

「課題解決 フレームワーク」といったワードで検索をすると「PEST分析」や「3C分析」「SWOT分析」といったマクロな環境から課題を発見するフレームワークが多く出てきます。
一方で現実で解かなければならない課題はもっとミクロでフレームワークをどう使いこなしたらいいか分からなくなるものが多いと思います。
この記事ではビジネスや学校など実生活で使えるデザイン思考による課題解決プロセスを紹介します。

デザイン思考のプロセスとは?

デザイン思考はデザイナーの思考過程をIDEOのデビッド・ケリーがビジネスの世界に活用したことによって、世の中に普及してゆきました。
会社や世の中を主体として課題を考える一般的な課題解決に対して、デザイン思考は人間を中心にして考えていくのが大きなポイントになります。
デザイン思考は以下の3つのプロセスからなります。

デザイン思考のプロセス①観察

デザイン思考はまず「課題・問い」のヒントを観察して探すところから始まります。
多くの場合「製品が継続購買されない」「残業時間が増えている」など「問題」ははっきりしていますが、どの切り口で解くかという課題は見えていません。
デザイン思考ではその状況に関係する人を観察する中で特徴的な行動を探してよりよい切り口での問題解決を図っていきます。

例えばあなたがハンドクリームのマーケティング担当者で「製品が継続購買されない」という問題があったとすると、まず世の中のハンドクリームユーザーの利用状況の現場を観察から始めるイメージです。
「1日の中でいつハンドクリームを使うのか?」
「どこにしまって持ち歩くのか?」
「どのタイミングで次の一本を購入しようと思うのか?」
「ハンドクリームで気に入っているポイントはどこなのか?」
など様々な観点からユーザーの悩みや不満、こちらが意図していなかった行動を観察を通じて探していきます。

デザイン思考のプロセス②問いの定義

観察を通じて色々な悩みや行動を収集できたら、今度はそれらの背景にある潜在的な悩みを深堀していきます。
例えばユーザーが「出勤間際にハンドクリームを塗る」という習慣があったときに、その裏にある悩みを考えます。いろいろな理由が想像できると思いますが、「つり革を握る電車の中でかさかさな手を見せたくない」という理由があったとします。
つまり、ユーザーは他人に手を見られるリスクがあるシーンでハンドクリームへの意識が高まることが考えられます。
そうなると、例えば今回解決すべき課題は以下のようなものが考えられます。
「どうすれば他人に手を見られるシーンで自社のハンドクリームを印象付けられるか?」
「どうすれば周囲からの目線の文脈でハンドクリームを訴求できるか?」
「どうすればこの製品とともに素手で悩みなく生活できる世界観を醸成できるか?」

デザイン思考のプロセス③アイデアの発散と収束

このようにして色々な問いが出てきたら、より取り組みたいと思うものからアイデアを発想していきます。ただし、ただうんうん唸って考えるのではなく、意図的な発散と収束と行うのがデザイン思考では重要とされています。
まずは質よりも量という考えのもとで色々な方向へアイデアを発散させていき、それらのいいところを組み合わせてアイデアを実現可能なものへと収束させていきます。
デザイン思考のアイデア出しはイラスト書いてみたり、実際の形を粘土で模してみたりと、図工の授業のように楽しくやることが多いです。他人のアイデアのいいところを盗んだりしながら、よりよいアイデアに磨き上げ収束させていきます。

有名な事例として、IDEO社のキャラクターゲームアプリの動画があります。

www.youtube.com

「デザイン思考による課題解決プロセス」まとめ

デザイン思考では、まずはユーザーの観察を通じた課題の発見、それらをより多様な角度から考えて実現性を高めていくというプロセスを取ります。
既存のフレームワークがマクロから始まるのに対して、いちユーザーのミクロな起点から考えを始めるため、幅広い課題に使える考え方になっています。
皆さんも考え方の一つとして、取り入れてみてはいかがでしょうか?

www.design-forward-neta.com

 

 

知らなきゃ損する『起承転結』のデザインとは?

時系列でしゃべったり書いたりしていませんか?
会話のデザインできてますか?

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日常でも仕事でもコミュニケーションが求められる時代

ITによって企業や業界の垣根がなくなり部門・企業間交流の機会が増えてきたり、個人でもプレゼンテーションを行うような機会は増えていると思います。
一方で副業の解禁や働き方改革の中でSNSやブログでの発信など個人発信のコミュニケーションは日々増えていると言えるでしょう。

コミュニケーションが苦手だと損する時代

忙しい現代において短い時間のやり取りで相手の興味や関心を引く必要があります。
同じ内容であっても伝え方ひとつで面白くも、つまらなくもなります。
よく「あの人つまらないよ」とレッテルを張られている人がいますが、前述したようにコラボレーションが求められる世の中では「コミュニケーションが下手」というだけで、一緒に仕事をしたくない人になってしまい様々な損が生まれやすい時代になっているといえます。

『起承転結』のデザイン

ではどうすればコミュニケーションで損をしないようにできるでしょうか?
一つの解として、「起承転結」のデザインがあります。
例えば昨日あった出来事ひとつ話すにしても

「昨日、大学の後輩と夜遅く呑んでいて」

「ついつい昔話に花が咲いてしまって」

「呑みすぎて途中から記憶がなくて」

「今朝、公園の滑り台で目が覚めたんですよ」

というのが普通のコミュニケーションですが、
同じ内容でも、


「今朝、公園の滑り台で目が覚めたんですよ」


「昨日、大学の後輩と夜遅く呑んでいて」

「ついつい昔話に花が咲いてしまって」

「呑みすぎて途中から記憶がなくて」

の方が引きこまれると思います。
違いとしては「結」を最初に持ってきました。
そう、『起承転結』のデザインとは
『結』を最初に持ってくること

・・
・・・
ではありません。
大事なのはどうすれば早い段階で聞き手に驚き(興味)を与えられるかです。

人はコミュニケーションをする時に、ついつい時系列でアウトプットをしてしまいがちです。時系列は正しくはあっても、面白いとは限りません。

『起承転結』のデザインとは、どのような順番で話すのが一番相手に驚き(興味)を与えられるかを考えることにあります。
日々の小さなコミュニケーションから「起承転結」のデザインを実践していくことが、あなたの人生をよりよくしていくでしょう。
私自身もまだまだ始めたばかりですが、意識するとコミュニケーションが楽しくなります。このブログの最初の1行も、その第一歩でした。
一緒にがんばりましょう。

一生役立つ!デザイン思考とアート思考の入門書5選

今や企業や大学を中心に世間一般に広まってきているデザイン思考。

近年それと対比される形でアート思考という言葉も出てきています。

この記事ではデザイン思考とアート思考それぞれのおススメの入門書を紹介します。

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デザイン思考の入門書

デザイン思考については以下の記事をどうぞ。

www.design-forward-neta.com

クリエイティブ・マインドセット

「デザイン思考」を提唱する世界最高のデザイン会社IDEOとスタンフォードdスクールを創設者したケリー兄弟による著作です。

「デザイン思考」というとクリエイターやデザイナー向けの本なのかと思われるかもしれませんが「エンドユーザーへの共感」を通じて物事を考えることで個人でもチームでも最大限の成果をあげるためのヒントにあふれた1冊です。

デザイン思考が世界を変える 

同じくティムブラウンによる著作。

製品やサービスの中心にいる人間を観察することにより、その悩みや改善点を発掘して、最善の「カスタマー・エクスペリエンス」を提供するという視点からサービスや商品を体系的にデザインする手法を事例を交えながら解説した一冊です。

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

共創型戦略デザインファームbiotopeの代表を務める佐宗邦威の著書。

海外のデザインスクールや企業で行われている新事業・製品/サービス開発のデザインプロセスを、具体的な事例を交えながら簡潔に説明してくれる一冊です。

不確実・予測不可能な現代社会において、自身の創造性やチームでの共創が必要であることを示唆する内容になっています。

アート思考の入門書

アート思考とデザイン思考の違いについては以下の記事をどうぞ。 

www.design-forward-neta.com

ビジネスの限界はアートで超えろ!

変化の激しいビジネス環境において、全体を直感的に捉えられる感性や、課題を独自の視点で発見し、創造的に解決する力の重要性が高まっています。

そんな中で「自分が感じたこと、思ったことを、作品を通じて自己表現する」ことを常とするアートとビジネスの相互関係の文脈でアート思考が語られている1冊です。

ロードアイランド・スクール・オブ・デザインに学ぶ クリティカル・メイキングの授業 - アート思考+デザイン思考が導く、批判的ものづくり

Airbnbの創設者をはじめ、様々なビジネス領域で数多くのイノベーターを輩出した「美大のハーバード」、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの教育を描いた一冊です。

問題解決としてのデザイン思考に、問題提起としてのアート思考を加えることによるイノベーション創出の考え方が述べられています。